9月3日、高田高校のモノづくり探究の授業に行ってきました。2学期の初回です。
ギルドデザインは高田高校の探究授業に協力していて、高校生が見つけた困りごとを、実際に商品の形にするところまで一緒にやっています。1学期でテーマは3つに絞られました。机に置く小さいゴミ箱。机のまわりでペンや小物がゴロゴロ転がって散らかる問題。それと爪切りで、切った爪がどこかへ飛んでいって片付けが大変、という話です。どれも机まわりのリアルな困りごとだと思う。

教室全体の様子
1学期は「自由に」、2学期は「強みで」
この日いちばん伝えたかったのは、ここから考え方を切り替えます、ということでした。
1学期は自由に発想してもらう期間にしていました。困っていること、あったらいいなを、できるかどうかは気にせず広げてもらう。最初から「できること」で考えると発想が狭くなってしまうからです。技術や制約を先に気にしすぎると、面白いアイデアが生まれにくい。
2学期はそこが逆になります。ギルドデザインの強み、つまりアルミの削り出し加工で実際に作れるかどうかを軸に選んでいく。ニーズと強みが重なるところに、作れて、しかも欲しいと思ってもらえるものがある。目指すゴールは、作れるものを考えて、サンプル品を作って、それを販売してみるところまでです。
得意なことも、苦手なこともはっきり出した
強みの説明では、得意なことと一緒に、苦手なこともはっきり出しました。
得意なのは、丸物や立体を精密に削り出すこと。既存の商品に後付けするアフターパーツ。少量・小ロットの試作。金属ならではの質感や強度、高級感。
苦手なのは、刃物のように硬い金属へ刃をつける加工。ゴムやスポンジのような柔らかい素材。電子部品や複雑な機構。何千個もつくる大量生産。
これを出すと、爪切りチームは一回詰みます。刃はうちでは作れない。でも、爪切りに後付けして飛んだ爪をキャッチするパーツ、と考え直せば復活する。机のゴロも同じで、机そのものではなく、机やかばんに後付けする小さなアルミパーツならいける。小さいゴミ箱は容器の本体を旋盤で削り出せるので、そのままいけます。
うちが実際に作ってきたものを並べてみたら、けっこう同じことをしていました。触らないフックは既存の吊り革やドアノブに後付けするもの。わくわくデスクは車の座席に後付けする机。G’CRAFTのパーツは既存のバイクに後付けするカスタムパーツ。ゼロから全部つくらずに、今あるものへ足して「めんどくさい」を解決している。
G’CRAFTの実例も見てもらいました。12インチのワイドホイールキットは、タイヤがはまる溝が0.01mm単位の精度で、何百回転しても振れない真円になっている。NERO Type-Sのアルミフレームは、曲線も穴も角度も図面どおりに削り出したもの。アルミの塊がここまでになる、という話です。
資料の最後のスライドには「制約は敵じゃない、尖らせるための武器だ。」と書きました。実務でもだいたいそうだと思う。
グループによって全然違うのが面白かった
説明のあとは3グループに分かれて話し合ってもらいました。

話し合いが始まったところ
これが見ていて面白かった。おとなしいグループ、楽しくやっていて雑談みたいになっているグループ、意外とまじめに考えているグループ。同じ課題を渡しているのに、グループごとに空気が全然違う。

話し合いの様子
正直に書くと、この日は30分しか時間がなくて、少し話し合ったぐらいで終わってしまいました。アイデアを紙に描いて、アルミでできない部分に印をつけて、残った部分だけで組み直す、というワークまで用意していたのに、そこには行けなかった。次回に持ち越しです。

それぞれ手元の資料とiPadで
こういうのも、うちの仕事のうち
ギルドデザインはバイクのカスタムパーツやアルミのケースを作っている会社ですが、こういう学校との取り組みも普通にやっています。8月18日には生徒たちに会社まで来てもらって、CADと3Dスキャンと旋盤の3班に分かれて、実際に手を動かしてもらいました。旋盤で削られていく様子を間近で見て、できあがったコマを回してみる。紙の上のアイデアが初めて物になる瞬間です。
商品企画の仕事には、自由に発想する段階と、それを作れる形に落としていく段階の両方があります。今回高校生に説明したことは、そのまま普段うちがやっていることでもある。企画から製品化までの間にある、この「削っていく作業」を面白いと思える人には、たぶん向いている会社だと思います。
次回、3チームがどう作り直してくるのか楽しみです。